お腹の赤ちゃん大丈夫かしら」
いくら気を付けていたって、そんな瞬間はあると思います。まず始めに伝えておきたいのは、過度な心配はしなくて大丈夫!
ということです。この記事では、『殺虫剤のお腹の赤ちゃんへの影響を調べた”学術論文4つ”』を元に、妊婦さんが殺虫剤とどのように付き合っていくべきかをお伝えしていきます。
・殺虫剤を吸い込んでしまった「妊婦さん」

「完全に避けるべきなのか」
妊娠中に殺虫剤を吸い込んでしまった方が 『知っておくべき事実』
一般的な家庭で使われる ”殺虫剤” なら心配はいりません
まず結論からお伝えすると、一般家庭で使われている殺虫剤(キンチョールやゴキジェットなど)であれば、少しくらい吸い込んだくらいでは”胎児へ影響”はありません。
ただし、量が多ければ子どもの『心の成長面』で影響が出る可能性が示唆されていますので、積極的な使用はさけることが大切です。
ティッシュリーン大学の研究で「993名の母親へのアンケートによる殺虫剤使用量と赤ちゃんの出生時の”体重・身長・頭囲”を調査」したものがあります。
これによると『一般的に使われる市販の殺虫剤を使用していた』と回答していた母親から生まれた子供と、それ意外の子供たちと比べても”体重・身長・頭囲”ともに違いはなかったということが分かっています。
このことから、普通に市販されている殺虫剤を常識的に使うぶんには、身体的な影響が出る心配はないといえるでしょう。
ただし、別の研究では「心の成長面で影響が出るのでは?」、という結果が出ているものがあります。
こちらの研究は287名の妊婦に強力してもらい、『彼女たちの妊娠中』と『生まれた子供が6歳になるまで』に殺虫剤にさらされた量を計測しました。
そして子どもたちの6歳時の成長をテストで計測しています。
結果、殺虫剤にさらされた量が増えるほど、子どもたちは『注意力の欠如』『反社会的な行動の傾向』『抑うつ症状』などに悩まされる可能性が高まることが分かっています。
以上のことから、下のような結論が言えると思います。
- 市販の殺虫剤で、赤ちゃんに身体的な影響が出ることは考えにくい
- 心の成長面で問題が出る可能性はある
※これは生まれた後の、子供の殺虫剤の吸引量も関わっていそう
過度な心配は不要ですが、積極的な殺虫剤の使用は避けたほうがいいでしょう。
私たちが普段使っている殺虫剤の90%が『ピレスロイド』という化合物を原料にしています。ピレスロイド成分はすぐに人体から尿として排出される性質があります。そのため「ピレスロイドに人体がさらされた量」は尿検査によって判定できます。
『農作業する方』や『田畑が近い方』はご注意ください
さて、『一般的に市販されている殺虫剤』の胎児への影響については確認し、使用量さえ気をつけていれば大きな問題はなさそうだということが分かっていただけたと思います。
それでは『農作業で使われる殺虫剤(農薬)』はどうでしょうか?
こちらについても先程のティッシュリーン大学の研究で調査されています。
結論として、胎児の母親が農作業で農薬を使っていた場合は、低体重のリスクがあることが分かっています。
※平均166g、その他の場合より低体重で生まれてくる
166gというのは、3300gを平均として生まれる赤ちゃんにとっては5%ほどの体重ですので、決して小さな数字とは言えないでしょう。
つまり、農作業をどうしてもしなくてはいけない立場であっても、
『妊娠中は農薬散布は避ける』
といった配慮が必要だということです。
また、近所に田畑がある場合には、農薬散布時に誤ってそれを吸い込んだりしないように注意してほしいと思います。
ペット用・観葉植物用の防虫剤は避けたほうが無難
こちらもティッシュリーン大学の研究です。
『ペット用のダニ・ノミの駆虫薬』や『観葉植物用の防虫剤』が、上に述べた『農薬散布に近いレベルで胎児の低体重に繋がる』ということが分かっています。
具体的な数値としては以下のとおりです。
使用する殺虫剤の種類 | 胎児の低体重 |
母親が農業従事者 | -166g |
ペット用の駆虫剤 | -72g |
観葉植物用の防虫剤 | -160g |
上の表で注意すべきなのが、『観葉植物用の防虫剤』は屋内で使用した場合という点です。
屋外で家庭用の「植物防虫剤」を使用した場合には影響が出ていないため、狭い屋内で使うには強すぎる作用があるのではと推測できます。
これはペット用の駆虫剤にも同様のことが言えそうです。
これらのことから、妊娠中は
『ペット用のダニ・ノミの駆虫薬』
『観葉植物用の防虫剤(屋内)』
は避けることが必要と言えます。
魚を食べることが殺虫剤のマイナス効果を打ち消すかも!?
最後に熊本大学の研究で『日本人の魚を食べる習慣』が殺虫剤のマイナスを打ち消すかも?という結果が出ているため、紹介しておきます。
研究の被験者は、2009年~2011年に妊娠初期の女性を、東京大学病院で102名集められました。
調査方法は先に述べたものと同様、妊婦の尿から『殺虫剤にさらされた量』を計測しています。
そして生後18ヶ月ごろにアンケート(体重、身長、授乳などに130の質問で構成されるアンケート)に答えてもらった、というものです。
結果分かったのが、
母親が殺虫剤にさらされた量と子どもの成長にはまったく影響がなく、それどころかプラスの影響すら確認できてしまった、ということです。
この結果は研究者の期待していたものではなく、「さらなるサンプル数が必要だ」と締めくくられています。
ただ、ここで研究者も述べているとおり、日本人は他国に比べて『魚の消費量』が多いです。
魚に含まれる『DHAやEPA』が胎児の脳や神経の発達に良い効果をもたらすことはすでに事実として知られており、その効果が殺虫剤のマイナス効果を打ち消してしまった可能性はあります。
※もちろんこの研究ではそれを加味して計測はしていたようですが
いずれにせよ、魚を食べることが胎児に良い影響をもたらすことは間違いないため、積極的に摂取してみてはいかがでしょうか。
魚は水銀汚染が気になる、という方は以下のようなサプリを摂ることがオススメです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、妊娠中に殺虫剤を使用するとどんな影響が赤ちゃんにあるのか?
ということにスポットを当ててお話してきました。
この分野は倫理的な問題もあり、緻密な研究結果が出ることは、今後も難しいと思われます。
それでも、今出ている範囲で分かっている範囲で以下のことが言えます。
- 一般家庭で使われる殺虫剤であれば、少量の使用は心配はいらない(ただし注意点はあり)
- 農作業に従事・もしくは田畑の近くに住む妊婦さん、小さなお子さんは要注意
- ペット用駆虫剤・屋内観葉植物の防虫剤は使用を控えたほうがよい
この記事が、これから生まれてくる子供たちが元気に育つ 「一助」 になることを心から祈っています。
追伸:
「食品添加物の赤ちゃんへの影響」を心配されているママたちも多い思います。
こちらについては以下の記事も参考にしてみてください。
「食品添加物は危ない」というけれど、最近は厚生労働省によって厳しく安全性が管理されているされているから、気にする必要なんてないでしょ? そんなご質問が、よくあります。 でも、実際にはそう単純ではないです。 特にお腹[…]
「特に影響が大きい添加物」については、こちらにランキング形式でまとめています。
「添加物が危険というけど、具体的にどんな食品に気をつければいいの?」という質問を、お子様のいるお母様を中心に尋ねられることがあります。 この記事では、特に気をつけたい具体的な食品をあげ、その理由もお伝えしていきます。 […]